いえでをしたてるてるぼうず

にしまきかやこ 作

 明日どうしても晴れてほしい時、てるてるぼうずを作って軒先に吊るす、やったことありますよね。でも、願いが叶って いいお天気になって、大喜びで出かけて、さて、てるてるぼうずをどうしたか、覚えていますか?
 この絵本に登場するてるてるぼうずくんは、「ぼくがいいお天気にしてあげたのにいつも置いてきぼり」と、ぷんぷん怒って、 家出してしまいます。なにか、ドキッとします。波乱の幕開けです。
 私は、「この我の強いてるてるぼうずは、外で危ない目にあっているところへ、作った子どもが探しに来て、 めでたしめでたしになるんだろう」と、お決まりの結末を予想していました。ところが、予想は大外れでした。
 まず、出会ったのはちょうちょ。ひらひらと自由に飛び回るちょうちょを、てるてるぼうずがうらやましがるのかというと そうではなくて、「ぼくは道の上をあるく」と、すたすた。
 次に会ったのはトンビ。捕食しようとして、食べものでないことがわかってがっかりしているトンビに、てるてるぼうずは 「おうちへ連れて行って」と要求します。たいした度胸です。残念ながらトンビの奥さんには歓迎されず、巣から放り出されて 木の枝に引っ掛かってしまいました。これにはさすがにちょっとへこみました。
 木の枝から助けおろしてくれたのはクマの子どもでした。そこからは、自然な流れで、てるてるぼうずくんの願いが成就していきます。
 作者のにしまきかやこさんの代表作は『わたしのワンピース』で、なんと刊行50年になります。小さいお客さまが、 この本を指差して「ララランロロロンの本」とにこにこされていると、こちらもうれしくなります。
 優しい色合いの絵のタッチは同じでも、今回のてるてるぼうずくんは勇気りんりんの主人公です。お話の主軸には、 てるてるぼうずくんの意志がきっちりと貫かれています。それも、だれかが迎えに来て元のさやに納まる、などという古めかしい発想はなく、 言わば、子どもの人権に配慮した筋立てといえます。フレッシュな仲間の誕生です。 

(杉原 由美子 19/9/18)

いえでをしたてるてるぼうず

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